中国主導の国際金融機関の視点

摘要

国際情勢あるいは外交関係というものは、当事者の思わぬ方向に動くことが多い。1980年代の後半からのベルリンの壁崩壊に始まる社会主義諸国の崩壊は、自由主義、市場経済の高らかな勝利とともに、世界は一つとなる平和な社会への希望を多くの国民にもたらした。ところが、実際には米国とツ連という冷戦構造の崩壊のスキを突くかたちで、イラクのサダム·フセイン大統領が、クウェートに侵攻し、1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争へと、現在の中東情勢における混迷の契機となった。