労働災害の発生率は年齢によって異なるのか

摘要

林業の労働災害発生率は高く，労働者1,000人当たりの労働災害発生数を表す死傷年千人率を見ますと，林業は約27であり，建設業と農業は約5，鉱業が約9，全産業の平均が約2となっており，日本の全産業の平均と比ベると，林業は10倍以上高く，死傷しやすい産業と言えます。また，各産業において，死傷災害数に占める死亡数の割合は，林業で2.6%であり，建設業で2.0%，鉱業で0.9%，農業で1.0%，全産業の平均は0.7%となっており，林業は他産業と比較すると，労働災害が発生すると重篤になりやすい産業といえます。そのため，労働災害による死亡者の約4%が，日本の労働者の0.1%しかいない林業労働者になっています。林業ではかかり木処理を含む伐倒時の労働災害が多いことはわかっていますが，年齢層による労働災害の違いについては，明確には調べられていませんでした。建設業や製造業では，労働者当たりの労働災害発生数を年齢ごとに示し，年齢によって生じる特有の労働災害を明確にし，年齢ごとの安全対策を提案しています。そこで，林業において年齢による労働災害の違いがどの程度あるかを明らかにするために，2005年から2010年の労働災害事例と統計資料を用いて，年齢別の労働者1,000人当たりの労働災害発生数を原因ごとに算出しましたので，報告します。