要再考の長期エネ需給見通し

摘要

総合資源エネルギー調査会は5月17日に第7回需給部会を開き、2010年のエネルギー需給見通しの暫定版を発表した。 超長期の2030年のエネルギー需給見通し暫定版も同時に公表し、2010年は2030年に至る通過点にすぎないという含みをもたせた苦肉の舞台仕立てだ。 従来の趨勢的変化のまま推移する自然体の「レファレンスケース」、現行対策を今後着実に講じた場合に実現が期待される「現行対策推進ケース」、2010年度時点にエネルギー起源CO_2排出量の90年度比±0％達成に必要な「追加対策ケース」の三つのシナリオを試算している。 だが、「レファレンスケース」でも「現行対策推進ケース」でも京都議定書の第1約束期間の中間年に当たる2010年度にCO_2排出量が90年度を大きく上回るのは避けられない。 しかも、エネルギー基本計画で定性的に決めた脱石油政策見直し路線が定量的にどれほど織り込まれたのかはっきりしない玉虫色の需給バランスに終わっている。 石油連盟会長の渡文明委員は、「2010年度には設備稼働率が14％程度に落ちる石油火力発電所をフルに活用し、石炭火力に代替するだけでCO_2排出量を5％程度削減可能」と発言し、需給バランスの再考を求めた。 「追加対策ケース」は6月8日の次回会合で審議し、最終案をまとめる。