IgG4関連疾患の病理診断のトピックス

摘要

IgG4関連疾患の認知度が向上するにつれて, 病理 診断の重要性が高まっている。一方で臓器による鑑 別疾患の違いや, 組織像の類似性などが病理診断を 困難なものとしている。IgG4関連疾患の病理像は例 外もあるものの, リンパ球, 形質細胞浸潤, storiform fibrosisと呼ばれる特徴的な線維化および閉塞性静脈 炎を一般的には伴っている。これらの所見は臓器横断 的な類似性を呈し, 多くのIgG4関連疾患で見られる 共通の病理組織像である。また浸潤する形質細胞の多 くが, 免疫組織学的にIgG4陽性となることが知られ ている。病理像は診断において重要視されており, 全 ての臓器をカバーする「IgG4関連疾患包括診断基準 2011」に病理像が盛り込まれている。また現在IgG4 関連疾患にはIgG4関連硬化性胆管炎, IgG4関連ミク リッツ病, IgG4関連呼吸器病変, IgG4関連腎臓病, IgG4関連眼疾患の6疾患で臓器固有の診断基準があ るが, それらはすべてに病理像が盛り込まれている。