フローサイトメトリーを用いた微生物検査【抄録】

摘要

近年、薬剤耐性菌の問題から抗菌薬の適正使用が求められている。しかしながら、初期抗菌薬選択の一助となるグラム染色は微生物検査室を有していない施設 ではあまり行われていないことなどの理由で、empiric に抗菌薬が投与される症例が多いのが現状である。実際の診療では、感染症を疑う患者に対する検査としていわゆる"Fever work-up 3点セット"である尿検査（一般検査?培養検査）、胸部レントゲン、血液培養が実施されることが多い。グラム染色では、グラム陰性桿菌、グラム陽性球菌（ブドウ球菌、レンサ球菌）、白血球などの情報が得られるが、尿一般検査では亜 硝酸塩、白血球エステラーゼ、尿沈渣から膿尿?細菌尿の判定は可能であるが、どのような細菌が検出されているのかわからない。現在、フローサイトメトリーを原理とした全自動尿中有形成分分析装置UF-5000 （Sysmex）において研究項目としてグラム陽性菌/陰性菌を判定する細菌弁別判定機能が標準搭載され、この機能を検討した研究も報告されている。