本実験の結果および考察から以下の結論を得た. ① ケース1~16の実験の結果より,供試体にはいずれも圧縮力の増加に伴う押抜きせん断破壊が生じる.しかし,単純な押抜きせん断破壊ではなく,圧縮破壊の要素を含んだ押抜きせん断破壊である. ② 鉄筋量増加ケースの実験より,破壊メカニズムは載荷位置ケースと同様であり,鉄筋量を増加させることは,供試体耐力の増加につながることがわかった. ③ アンカーボルト設置ケースにおいて,アンカーボルトによって前面への破壊が抑制され,側面方向にせん断破壊が形成された.また,鉄筋量増加と同様の効果が得られることがわかった. ④ 実験結果から得られたコンクリートのせん断応力度および鉄筋強度に対して,信頼性解析を行った.その結果,コンクリートのせん断応力度に関しては,平均4.42N/mm~2,2.3%超過3.0N/mm~2の値を得た.鉄筋強度に関しては,平均440N/mm~2,2.3%超過174N/mm~2の値を得た. ⑤ コンクリートのせん断応力度については,押抜きせん断応力度の値を大きく超え,圧縮破壊時のせん断応力度に近い値を示しており,圧縮破壊の要素を含んだ値が得られている.実験結果から考察した破壊形態を反映した評価式が提案された.
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