鋼橋の耐震性能照査法に関する一考察: アーチ橋による変位照査法の適用限界の検討

摘要

現在，動的挙動が複雑な土木鋼構造物の耐震性能照査法として，a変位照査法（静的・動的併用照査法），およびbひずみ照査法（動的照査法）が提案されている．2つの照査法の主要点をまとめたものが表-1である．いずれの照査法でも応答値S（Demand）と限界値R（Capacity）との間でS≦Rの照査を行うが，構造安全性に対する照査は次のように行われる．変位照査法では，限界値は，幾何学的および材料的非線形性を考えた静的解析，すなわち複合非線形静的解析（Pushover解析）によって得られる「参照点」（例えば，橋脚であれば柱頂部）の終局変位であり，応答億は対象構造物を等価1自由度系（ESDOF）に置き換え，ESDOFの複合非線形動的解析を実施して得られる同じ「参照点」の最大応答変位である．