腎盂?尿管がんの周術期化学療法とunmet needs

摘要

遠隔臓器転移を伴わない腎盂?尿管がんに対 する標準的治療は腎尿管全摘除である.しかしながら,腎盂?尿管がんは同じ尿路上皮がんである膀胱がんと比較して予後不良であり,手術単独での治療成績は十分ではない.膀胱がんにおいては，膀胱全摘術前の補助化学療法による生存期間延長が示されているため,腎盂?尿管がんにおいても腎尿管全摘除後の予後改善を目的として,周術期化学療法が試みられてきた.しかしながら,腎盂?尿管がんの疾患頻度が低いことから，ランダム化比較試験遂行がきわめて困難であり,最近までレベルの高いエビデンスは存在しな かった. 2020年に，腎盂?尿管がんに周術期化学療法におけるはじめてのランダム化比較試験（POUT 試験）の結果が報告され,術後補助化学療法により無病生存期間が改善することが示された. 腎尿管全摘術後の腎機能低下により化学療法施行 が困難となる症例など,克服すべき課題は残されているが,術後補助化学療法が今後，腎盂?尿 管がんに対する標準的治療となりうる.