Negative studyから考察する進行性尿路上皮がんにおける免疫チェックポイント阻害剤の意義

摘要

臨床試験は薬剤や治療法の有効性を，科学的根拠を用いて証明してくれる大変優れた方法で あるが，試験であるため，結果が予想どおりになるかは，やってみないとわからない.予想どおりにならない場合でも,そこから得られる知見は人類共通の宝であり,その過程から多くのことを学 ぶことができる.特に第III相ランダム化比較試 験では,あらかじめ有効性,もしくは非劣性を統計学的に設定し,その基準内に入ることで有効 性を評価する.最近では多重比較検定の問題か ら，中間解析,無再発生存率，全生存にP値を振 り分け，合計で<0.05とする試験が多い.その場合,試験全体でP<0.05を統計学的有意と判定するため,有効性が示唆されていても,試験としてはnegativeと判定されることもあり,判断が難しいことがある.本稿ではまず統計的な背景を解説する.その後negative studyの例をあげ，進行性尿路上皮がんにおける免疫チェックポイン卜阻害剤の意義について考察する.