抗がん化学療法による 性腺機能低下症

摘要

男性の性腺機能として,主に精子形成とテス トステロン分泌があげられるが,これらは視床下 部一下垂体ー性腺系,いわゆるhypothalamic-pituitary-gonadal axis ； HPG-axisによ って制御 されている.このうち,抗がん化学療法の影響を受けやすいのは精巣である.精巣を構成する 生殖細胞(germ cell)やテストステロンを産生するライディッヒ細胞(Leydig cell)が細胞毒性の 高い抗がん剤により障害される.その結果，妊 孕性の低下や，テストステロン欠乏によるlate onset hypogonadism (LOH症候群)のリスクが高まる.本章では，各種の抗がん化学療法が男性 性腺機能に及ぼす影響を解説する.さらに，男 性がん患者における妊孕性温存療法について概説する.