尿細胞診のAIによる 診断支援システムの開発

摘要

膀胱がんの罹患率は全世界において10番目に 位置し,毎年57.3万人の新規患者,21.3万人の 死因となっており,男性は女性の4倍罹患率が高 < ,男性のみの罹患率,死因においてはそれぞれ 6位と9位に位置する疾患である.尿細胞診は,自排尿を検体とする病理診断で あるため非侵襲的で繰り返し施行可能かつ安価 な膀胱がんスクリーニング手法であり,初発膀胱 がんの検出のみならず治療後高率に認められる膀 胱がん再発の監視にも広く用いられている.た だし,感度はlow-gradeの膀胱がん検出において 低く,精度は細胞診を判定する検者の技量に依 存し再現性が低いという限界を抱えている.米国においては2007年から2017年の間に病理 医一人あたり1年間にがんを診断する症例数は 41.7%もの上昇が報告されている, 今後,全世 界でも2020年から2040年の20年間に新規がん 罹患数は47%上昇して年間2,840万例にも達す ると予測されており，細胞診に限らず,組織診 断に多大の負荷を余儀なくされ,本邦でもその絶 対数の不足が指摘されている病理医療従事者の 負担軽減は喫緊の課題である.