東北地方整備局における新設橋梁の高耐久化の試行

摘要

国土交通省東北地方整備局(以下，東北地整)では，東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトとして，東北縦貫自動車道と太平洋沿岸を結ぶ復興支援道路である横断道3路線，復興道路として太平洋沿岸を縦走する三陸沿岸道路を震災からおおむね10年程度で供用するベく事業を進めている.これらの事業中延長は平成27年4月時点で336kmとなっており，建設される橋梁数は200橋を超えている.一方で，東北地方のほとんどが積雪寒冷地域であり，日本海沿岸では日本海からの飛来塩分による塩害，内陸部では積雪?寒冷による凍害，凍結抑制剤による塩害などの厳しい気象環境などの影響により，既設橋梁の約4割は補修が必要な状況となっている.復興道路等はその事業の性格上，短期間に集中して大量の構造物を整備する.建設された大量の構造物は補修が同時期になるため，将来的に補修予算のひっぱくをまねくおそれがある.このため，東北地整では，橋梁やトンネルの品質向上，高耐久化の試行工事に取り組んでいる.すでに，不十分な排水計画による劣化の防止の観点から，伸縮装置からの漏水防止や排水流末の適正処理をまとめた「排水計画の手引き」を運用している.また，凍害，凍結抑制剤による塩害対策を施した「高耐久PC桁」の第一弾として工場製作の「プレテンションスラブ橋桁」を試行的に採用している.ここでは，橋梁の劣化の現状とそれを踏まえて，東北地整が取り組んでいる新設橋梁における高耐久化の試行概要を報告する.