2020年の高速道路: 新東名高速道路の全通

摘要

昭和62年(1987年)の第4次全国総合開発計画において策定された高速道路網計画は，高速国道：11 520km,一般国道自動車専用道路：2 480kmの約14千kmの高規格幹線道路網であった.2006年の日本道路公団の分割民営化時には，約7 363kmが有料道路として供用中であった.高速道路3会社(NEXCO東日本，中日本，西日本)が，当時許可された新たに建設する1290kmの新規建設区間については，全国高速道路網として予定どおり，2020年度にほぼ完成を迎える.新東名高速道路伊勢原北ICから御殿場JCT間の開通である.NEXCO中日本が建設する新東名高速道路は，第二東海自動車道(東京都?愛知県名古屋市を結ぶ延長約330km)のうち，神奈川県の海老名南JCTから愛知県の豊田東JCT間の全長約254kmの高速自動車国道である.2012年4月に静岡県内の御殿場JCTから浜松いなさJCT(以下，新東名静岡区間)の162kmが開通している.2015年度は，愛知県区間も開通し2018年度には，海老名南JCTから伊勢原北ICまでの10kmが先行開通する.NEXCO中日本東京支社では，新東名高速道路の海老名南JCTから御殿場JCT間(以下，新東名神奈川区間)の約54kmについて2020年までの全線開通に向けて現在，事業を進めている.海老名南JCTでは，首都圏中央連絡自動車道に接続し，新湘南バイパス，横浜環状南線を経由し横浜，横須賀方面へアクセスする.また伊勢原JCTと御殿場JCTでは東名高速道路(以下，現東名)と相互接続している.さらに御殿場ICでは，国道138号バイパスとも接続し，中央道との広域的アクセスの向上が図られる.現東名とのダブルネットワーク化により，交通の分散による混雑?渋滞の緩和や，災害などの緊急時におけるリダンダンシ一の確保が大きく期待されることはもちろんであるが，今後想定される現東名の大規模更新における代替交通路としての期待と役割も高い.