堂島大橋における長寿命化対策工事について(施工編)

摘要

大阪市内を流れる堂島川に架かる堂島大橋は，1927年に建設されたRCラーメン橋台を有する鋼下路式2ヒンジソリツドリブアーチ橋である.本橋は竣工から90年以上が経過し,床版や床組みの老朽化が進行するとともに，過去の地下水くみ上げを原因とする橋梁全体の不等沈下により，アーチリブヘの付加応力の作用が'懸念された.そのため，前月号の設計編で'報告したとおり，床組み·床版を全面的に取り替えるとともに，アーチリブの付加応力の低減等を図る長寿命化対策工事を実施することとした.本橋には1日約2万台の自動車が通行しており，近隣には大阪府立国際会議場(グランキユーブ大阪)やホテルなどの施設，および高層マンシヨンが立ち並んでいることから,工事の施工にあたつては利用者や周辺施設への影響を最小限にする必要があつた.また,堂島川は観光船の定期航路になつており，工事中においても可能な限り航路を確保する必要があつた.以下，本稿では前月号の設計編に引き続き，これら施工上の課題への対応策ならびに周辺環境への影響に配慮した施工について報告する.