エンジンパワートレーン技術の動向と展望

摘要

ニコラス·オットーが4ストロークガソリンエンジンを発明して130年，ルドルフ·ディーゼルがディーゼルエンジンを発明して110年が経過した現在，その原理·原則に大きな変化がないことに驚く一方で，内燃機関は既に成熟した技術であるとの認識が多いことにも気がつく。しかし，現在の内燃機関には改善の余地が依然として残されており，熱力学的あるいは燃焼学的に究極の理想に達しているとはいえない。 特に，省資源や地球温暖化抑制のための熱効率向上，排気エミッション低減，石油代替燃料への適合化など数多くの課題が山積しており，その解決のための技術革新が求められている。 それに対し，昨今の制御，計測，材料などの技術導入により過去には実現できなかったコンセプトが具現化されつつあり，これらを駆使することにより多くの課題解決が期待できる。 一方，自動車用動力源として考えた場合，熱効率や出力特性，さらにはコスト面で内燃機関の優位性は歴然としていることから，今後ともその主要な地位を担って行くものと思われる。 以上を踏まえ，本稿ではガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンがかかわるパワートレーン技術の動向と展望について概説する。