事例に基づく保温保冷配管の外面腐食速度の推算

摘要

現存する我が国の石油·化学プラントの多くは、昭和30年代の後半から40年代の前半に建設されている。当時は、それほど長く使用されるとは考えていなかったので、進行速度の遅い外面腐食は重要視されず、塗装されていなかったり、板金の開口部のシールが不完全である保温保冷配管が非常に多い。しかし、建設時の予想に反して、40年以上使用されているため、外面腐食による減肉が進hで漏洩事故として顕在化するようになってきた。大規模な工場では総延長が数千kmに達する配管の外面腐食の管理は非常に頭の痛い問題である。配管の外面腐食管理は目視点検が中心であるが、保温保冷配管については、断熱材を除去しなければならない。出光エンジニアリング（株）のHPには、6Bの保温配管100mの目視点検費用が30万円であるのに対し、断熱材の除去費用が100万円、そのための足場設置費用が200万円という事例が示されている。勿論、これらの費用は、配管の施工状態に依存して大きく変わる可能性はあるが、保温保冷配管の外面腐食管理において断熱材の除去費用が大きな障害となっていることは事実である。