適応的階調補正のハードウェア実現におけるRetinex理論の比較評価

摘要

人の視覚特性にもとづいた階調補正として，E. H. Landが提案するRetinex理論を具体化したさまざまなモデルが提案されてきた．これらのモデルは，静止画を対象としたものが主であるため処理量について考慮されていないことが多い．本報告では適応的階調補正を実時間処理するハードゥェアの実現を目的とし，Retinex理論をもとにした輝度補正手法の複数のモデルに対して処理量と画質の両面から評価を行った．処理量については，キャッシュ機構を用いて考察を行い，画質について，再現性とコントラストの指標を用いて評価を行った．その結果，処理量ではPoissonモデルで一番良好な結果が得られ，画質の評価では，MSRモデルで一番良好な結果が得られた．処理用および画質の評価を総合した結果，QPモデルが適しているという結論を得た．