建設業における高齢者墜落災害防止に関する研究

摘要

本研究は高齢者の高所墜落災害を防止するため、高さが高齢者に及ぼす精神的負担の程度を、実験的に検討した。 実験では高さ14.2mの仮設足場を建設し、その作業床上を高齢者と若年者が歩行した。 精神的負担の程度は、二重課題法を用いた被験者の余裕容量の測定および、NASA-TLXの回答結果から評価した。副次課題の反応時間の結果から、年齢と高さに有意な主効果が認められたが、その交互作用はなかった。 すなわち作業位置が高くなると、余裕容量の低下が認められるものの、それは年齢と関わらないことが分かった。 しかし高さ要因に作業床幅の狭さや、作業の複雑さという危険要因が付加された場合、高齢者は若年者よりも余裕容量の低下の程度が増大する、という結果が得られた。