Hough変換に基づく測定時キャリブレーションが不要な視線検出アルゴリズム

摘要

本稿では，頭部とカメラの相対位置が変化する場合でも，計測時でのキャリプレーションを実施することなく，安定して視線計測が行えるアルゴリズムについて述べる．本アルゴリズムは，まず，角膜曲率中心の三次元座標を検出した後，その位置を基準にHough変換に基づいて瞳孔形状を高精度に検出し，検出した瞳孔形状から眼球モデルに基づいて瞳孔の回転角を求め，その値から視線方向を検出する．なお，このアルゴリズムでは，角膜曲率半径と角膜曲率中心から瞳孔までの距離という個人の眼球情報を用いるが，システムの観測系のパラメータが分離されているために，計測に先立って最初に一度だけ把握しておくことで，以降の測定では．キャリブレーションを必要としないという特長がある．実眼球による評価実験の結果，カメラの位置が変動した場合でも，計測時にキャリブレーションを行うことなく，固視微動とほぼ同程度の精度で視線方向の検出が可能であり，本手法の有効性が検証できた．