三相交流を用いた経皮エネルギー伝送の放射磁界低減－電磁界解析による基礎的検討

摘要

補助人工心臓に対して非接触で体外から電力を供給するため，経皮エネルギー伝送システム（TETS）が研究されている．電力伝送効率や電磁生体影響が研究の主たる対象となっているが，EMCに関して十分な検討がなされていないのが現状である．そこで，三組の経皮トランスで構成されたTETSを三相交流で駆動することで放射磁界の低減を図った．本稿ではモーメント法を用いた電磁界シミュレータにより15W伝送時の磁界分布を解析した．従来の2枚一組の空心偏平コイルを用いた方式では500kHzにおいて15W伝送時に3m点での磁界が49.7dBμA/mであった．これに対し，提案する方式では19.9dBμA/mとなりCISPR 11の制限値である30.8dBμA/mを下回り，磁界強度低減に関して有用性が確認された．