人体組織に対する電気定数のIn-vivo測定

摘要

電波の人体安全性評価には人体組織の電気定数が不可欠であるが，周波数領域測定法では，人体の特定組織を対象としたin-vivo測定は容易でない．本研究では，ネットワークアナライザと開放終端同軸プローブ（Agilentプローブ）で額，腹部，前腕部の複素比誘電率を100MHzから40GHzの広帯域の周波数範囲で測定し，これらを皮膚，脂肪，2/3筋肉などの特定組織に対するGabrielデータと比較することでin-vivo測定結果を考察した．その結果，1GHz以下の周波数では皮膚，10GHz以上では皮膚·脂肪などの複合的な組織を均質媒質として測定されることがわかった．この測定結果を説明するために，下面を発泡スチロールまたはアルミ板としたシリコンシートの電気定数を厚さとの関係において測定したところ，ネットワークアナライザとAgilentプローブを用いた電気定数測定は，プローブ端面から測定試料面に対する反射波形のうち最初の40psの波形から複素比誘電率を計算推定していることが導け，これによって本稿で得られたin-vivo測定結果が定性的に説明できた．