散乱波法による誘電率測定におけるキャリブレーション手法

摘要

誘電体の高周波誘電率を推定するために，既知ゐ高周波放射電界中に置いた誘電体試料から再放射される散乱波の電界強度を計測する方法を提案している．この方法は，誘電率を非接触かつ簡便に推定でき，試料サイズが信号波長に対して小さくて良いという特徴を有する．散乱波強度が比較的大きな純水を直径80mmの球形容器に封入した試料に関して，送受信アンテナ間に設置した電波吸収体により印加電界から散乱波電界を分離測定することで直接的な誘電率推定を検証した．相対的に誘電率の小さな試料に関しては，その散乱波強度を機械振動により変調することにより，印加電界と重畳して受信される散乱波を同期検波により分離する手法を用いた．この際，誘電率と形状·体積が既知のキャリプレータによる推定値を基準とした置換法の導入が実用的な手段である．印加電界周波数1GHzにおいて，直径20mmのアルミナ球により校正した測定系において，同直径のテフロン球の誘電率を誤差2％で推定できた．