日本薬局方に見られた向精神·神経薬の変遷（その14）ドイツ薬局方（DAB）におけるワレリアナ根の規格·試験法の変遷とUSP，BP，EP，JPとの対比ならびにDAB6（1926）に収載のワレリアナオイル（本邦産纈草油）について

摘要

明治の薬剤治療書の1つ，高洲謙一郎著「薬剤療法汎論」（1898）には，神経病薬剤療法及び誘導法総論の項に，その治療薬剤の鎮静薬の1つとして，カノコソウが「バルトリアン」として紹介された．また生薬学の専門書の下山順一郎著「生薬学上巻」（1889）には，カノコソウの基原として「太古希臘人及羅馬人ハ纈草ヲPhuト稱セリ而シテValerianaナル羅句語ハ蓋シBaldrianナル獨逸語に基因スルモノナラン」と記載されていた．清水藤太郎：注解第五改正日本薬局方（1949）の注解には，カノコソウの基原として「ワレリアンナル羅句名ハ獨逸名バルトリアンBaldrian二基ヅクナルベシ」と記載されていた．