分析·評価技術入門（第4回）LC/MSを用いた石油留分の評価

摘要

LC/MS法（Liquid Chromatography/Mass Spectrometry）は，HPLC（High Performance Liquid Chromatograph）と質量分析計（Mass Spectrometer，MS）をオンラインで結合した装置であり，製薬·環境·食品および工業材料などの分野で広く用いられている分析装置であるが，石油留分への応用例は少ない。これはGC-MSやFD-MSといった分析装置が石油業界において一般的に普及していることと，LC/MSの独特なイオン化法が石油の主成分である炭化水素の測定に適応しにくいためと考えられるが，炭化水素分析におけるHPLCのメリットを生かした形態別の分析や石油製品に使用される不揮発性添加剤の分析などの長所もあるので，今後の適用が期待できる。 そこで，本稿ではLC/MSの基本的な測定原理を解説し，軽油留分の測定に応用した例について紹介する。