カートリッジ方式一方向熱流定常比較法による熱伝導率測定法の研究（熱コンダクタンスが小さい試験片の場合）

摘要

接触面の界面熱抵抗を含む接触熱抵抗の低減材料TIM（Thermal Interface Material）の厚さ方向の有効熱伝導率を簡便に精度良く測定する方法として，著者らはこれまでカートリッジ方式一方向熱流比較法を開発してきた［1-4］．この方式は従来の米国標準による一方向熱流比較法［5］に比べ，試験片をカートリッジ化することにより試験片の交換を容易にしたこと，カートリッジを構成する金属ブロックの温度を複数点（3点）測定することにより接触面温度差の測定精度を向上させたこと，試験片周囲を断熱する必要がないことなどの特長をもっている．しかし本手法ではロッドや試験片周囲からの熱損を補償するためのガードヒーターを用いてないため，例えば試験片の1辺長さが20mmの場合，測定可能な試験片は熱コンダクダンスが800W/m~2·K以上である必要があった［4］．ここでは，試験片の熱コンダクタンスが800W／m~2·K以下と小さな試験片で測定できないのは試験片を通過する熱流の計算においてロッドやカートリッジからの熱損の影響が考慮されていないためであると考え，この点を考慮した熱伝導率の測定法について検討した．