今年度の火力は重換1,000万kl減か電力需要，原発，水力の影響受ける

摘要

一般電気事業者の10社が昨年度に発電した火力発電量は4,620億kWhを超え，前の年度を1.0％，45億kWhはど上回った。 前年に対する伸びは小幅だが，業界が想定していた計画に対しては10.8％，450億kWhも多くなった。 計画では9％ほどの前年割れが想定されていたのだったが…。 計画を上回った450億kWhは，重油消費量に換算すると1,025万kl近くに達するわけで，電力業界は想定どおり燃料消費を圧縮できず，逆に前年度より45億kWh分，100万kl強多い消費を余儀なくされたのである。 昨年度の火力発電量が計画を11％近くも上回った原因は，猛暑と厳寒で底上げされた電力需要と，原子力発電の不調，渇水に見舞われた水力発電など，電力需給環境がことごとく火力発電に依存せざるを得ない状況に追い込まれたからである。 電力需要は計画を3.1％，288億kWh上回り，原子力は計画を6.6％，203億kWh下回り，水力も計画を12,2％，83億kWh下回った。 電力需要と原子力，水力が要求した火力などへの増加発電量は570億kWh近くにも達する。 この3つは，今年度では逆の要因へ変わる可能性がある。電力需要にはマイナス成長まで予想されるほか，原子力には回復が本格化すること，水力は雪解け豊水と渇水の反動増で大幅増が確実視されている。 そのため，今年度の火力発電土は大幅な反動減が避けられない可能性がある。 大まかな試算を行ってみると，火力発電量は4,180億kWhで9.6％，440億kWh強の前年割れになった。 ほば前年度の業界計画4,170億kWh強へ戻る格好。重油消費量に換算して1,000万klの燃料が不要になるが，燃料の多様化で安定供給を確保している電力業界には，バランスを考慮した削減が求められる。