原料費調整で史上最大の売上げ都市ガス大手4社の19年3月期中間

摘要

わが国都市ガス大手4牡はこのはど平成19年3月期中間決井（個別）を発表したが，各社史上最大の売上高を計上する中，最もガス販売土が伸びた東邦が減益で他の3社は増収増益という皮肉な結果となった。 かねてから都市ガス会社の決算はガス販売の伸びに必ずしも連動してこなかったが，当中間期の4社は揃ってガス販売は好調で，総売上高も4社揃って前中間期比二桁の伸びだった。 東邦の減益は同社の飛び抜けた売上原価の増大が原因で，当中間期決算ではまた各社とも原料費調整制度の恩恵を大きく受けた。 原材料費の増高をガス料金の値上げで回収できたからだ。この原料費調整制度は平成7年の第1次都市ガス改革で導入されたもので，輸入原料価格の上げ下げに伴いその上げ下げ分を需要家のガス料金にそのまま転嫁できるというもの。 これにより輸入原料価格の変動を理由とした本格的ガス料金改定が大幅に減少したが，都市ガス会社の経営努力が要求される原料の手当てで，その結果を需要家にそのまま転嫁できる制度が良いことなのかどうか一部から厳しい批判が出されていた。 都市ガス各社の経営の安定を担保しているようなもので（本格的ガス料金改定でもそれは同じだが），依然としてこれまでの公益事業のしがらみから脱皮していないというわけだ。今回の4社の中間決算では，その原料費調整制度の恩恵を受けて，原料LNG価格の上昇により各社とも総売上高は揃って二桁の伸びとなったが，その後LNG価格は下がっており，下半期では需要家へのガス料金にその反動が出て適期では各社とも中間決算のようにはいかなくなるかもしれない。