省エネ法改正や新·国家エネ戦略で天然ガス自動車普及に弾みがつくか

摘要

工業用ガス販売を中心にこのところあらゆる方面で飛ぶ鳥を落とす勢いの都市ガス業界だが，唯一といっていいくらい普及が進まないのが天然ガス自動車（NGV）だ。 ここでいう天然ガス自動車とは主に圧縮天然ガス（CNG）自動車のことだが，戦前にも東京や千葉でいくらか普及していた経緯がある。 しかし，脚光を浴びたのは昭和59年に東京ガスが復活第1号を走行させてからで，その後環境問題の高まりもあって急速に注目を集めるようになった。 平成4年には，日本ガス協会に天然ガス自動車プロジェクト部が設置され，本格的な普及に向けての取り組みが開始された。 その後，天然ガス自動車及び天然ガススタンドの普及は右肩上がりで，電気自動車やハイブリッドカーとともに環境改善に大きく貢献する運送手段として大いに期待されたが，幾何級数的に増加し早晩ガソリン華やディーゼル車を脅かす存在になるのではないかとみられていた割には伸びず，天然ガス自動車の今年3月末段階での普及台数は2万7,605台だ。 天然ガススタンド（急速充填所）も311カ所にとどまっている。 関係者の間からも失望の声が上がっているが，今年度に入って省エネ法の改正や「新·国家エネルギー戦略」の策定がなされ天然ガス自動車普及に追い風が吹き始めた。 省エネ法の改正では運輸部門で荷主となる事業者すべてに省エネの取り組みが義務づけられ，「新·国家エネルギー戦略」では運輸部門で石油依存度の低減が打ち出されたからだ。