エネルギー基本計画閣議決定へ（1）CO2は2030年に07年比40％削減

摘要

少なくとも今後3年間の日本のエネルギー政策の基本となる「エネルギー基本計画（案）」が，6月8日に開催された「総合資源エネルギー調査会総合部会（第2国会合）·同部会基本計画委員会（第4国会合）」の合同会合でまとまった。これまでの両会合での計5回の審議結果や各委員の意見，各業界·関係団体からのヒアリング，パブリックコメントの形での広く一般からの意見公募などを踏まえて，事務局から示された基本計画（案）が最終的に審議されたもの。この実施に当たっての注文は各委員から出されたが，概ね了承され，あとは閣議での決定を待っての発効となった。「エネルギー基本計画」に沿った国のエネルギー政策の展開の必要性は「エネルギー政策基本法」で定められているが，エネルギー情勢は政治·経済情勢の変化やエネルギー市場の変動により大きく変わる。このため，基本計画も原則3年で見直すこととしている。最初に策定されたのが2003年10月。2007年3月には第一次改定が行われており，今回で2度目の改定となる。エネルギー情勢がいかに移ろい易いものか，原油価格を例にとるだけで明らか。2003年のWTI価格は約30ドル／バーレルだったが，2004年から上昇局面に入り2008年夏には147ドルに急騰したのは記憶に新しいところ。その後2009年2月には34ドルまで下落，現在は75ドルまで再度の高騰となっている。この価格の変動はその時々の政治経済情勢の大きな変化の結果であると同時に，その原因ともなっている。端的には中東の政治危横が原油価格を急騰させ，そのために各国のエネルギー政策が大きく転換。原油の急騰が経済危機を招くこともあれば，各国の原子力政策の見直しにもつながるし，国際的政治枠組みの大きな変化にもつながってくるのである。とりわけ，地球温暖化問題は化石エネルギー消費と深く関わっているし，省エネ政策·再生可能エネルギーの開発というエネルギーの新しい消費形態·施策等にも大きく影響している。不況下でのそれらの開発は，経済再生路線とも関わってくる。こうした諸点に今回の基本計画はどう対応しているのか，そこら辺りをみていくことで計画を紹介しておこうと思う。