ホルムアルデヒドの高感度パッシブサンプラの開発

摘要

本研究においては、30分のサンプリングで室内空気中のガイドライン値（0．08ppm）付近の濃度が測定可能なパッシブサンプラの開発を目的に種々検討した。 その結果、以下の点が明らかとなった。 重さ約2g、携帯に便利、安価（高価なポンプを使用しない）で室内の多点同時測定や個人暴露量測定に適用可能なパッシブサンプラの開発ができた。 本サンプラの拡散取り込み速度は2．55 mu g／ppm·hrで、ポンプ法の吸引速度に換算すると34ml／minに相当する。 本サンプラの繰り返し精度（HCHO濃度0．05ppm付近）は変動係数で9．1％、定量下限値は30分サンプリングで0．03ppmである。 サンプリング後のサンプラは冷暗所に保管すれば3週間、室温の場合は3日間安定（測定値に変化はない）である。分析用試料溶液の調製、すなわち、反応済み試料溶液にメタノールを添加する場合は分析直前にメタノールを添加し、直ちに分析する。 未使用捕集剤についても同様に操作する（ブランク補正）。 分析用試料溶液を保存する場合は冷暗所に保管し、2日以内に分析する必要がある。 風速は0．05～3m／sec、湿度は30～80％の範囲で影響は受けない。 また、温度の影響も考慮する必要はない。 本サンプラの測定値とDNPH一カートけッジボンプ法（HPLC法）の測定値は±15％以内で一致し、本サンプラの実用性が確認された。