環境対応型塗料の乾燥·硬化過程および塗装木材におけるVOC排出第1報無溶剤系塗料

摘要

木質フローリング用の無溶剤系および従来の溶剤系塗料について、実験室レベルでのセッティング、乾燥·硬化の過程および塗装後の木材において排出·放散されるVOCの定性·定量分析を行った。 排出空気中VOC総濃度は、無溶剤系UV硬化塗料の硬化過程では低かったが、溶剤系UV塗料のセッティング過程および2液型ウレタン樹脂塗料の乾燥過程で高かった。 溶剤系UV塗料のセッティング、硬化過程および2液型ウレタン樹脂塗料の乾燥過程で酢酸エチル濃度が、2液型ウレタン樹脂塗料の乾燥過程で酢酸ブチル濃度が高かった。無溶剤系UV硬化塗料で塗装された木材からのVOC放散は、厚生労働省が室内濃度に関する指針値を定めている化学物質の気中濃度が、硬化1日後までに指針値を下回り、総VOC濃度は、硬化3週間後までに暫定目標値を下回った。 2液型ウレタン樹脂塗料では、指針値物質の気中濃度が硬化1日後までに指針値を下回ったが、酢酸エチルと酢酸ブチル濃度が高く、総VOC濃度は硬化3週間後でも暫定目標値を上回った。 これらの結果から、塗料の無溶剤化が、塗装工程および塗装木材からのVOC排出の低減に極めて大きな効果を持つことが示された。