観測雑音を考慮したブラインド音源分離に関する一考察部分空間法の改良と実環境における雑書制御法

摘要

実環境における通信方式や信号処理等において，雑書抑圧の性能向上は主要な研究課題の一つとなっており，ブラインド音源分離においてもこれは同様である．この課題に対して，近年部分空間法に着目した手法が注目されている．この手法は受信信号の自己相関行列を固有債分解することにより信号空間と雑音空間を生成し，受信信号を信号空間に射影することによって雑書の軽減を図る．しかし，この手法は雑書空間内における雑書成分の軽減は可能だが，信号空間内に存在する雑音成分は取り除くことができないという問題点がある．本論文は，この間題点を改善する手法を提案し，実環境における適応法として，受信信号のSNRを基準とすることで従来手法と適応的に使い分ける雑書制御法についても検討を行った．その結果，実環境において本手法が有効であることが確認された.