先端技術と冷凍空調技術：植物資源の超低温保存

摘要

植物遺伝資源の保存方法は「in situ保存」と「ex situ保存」の二つに大別される．前者は自然の植生内で，生態的ネットを維持しながら生物の進化を保存するもので，熱帯雨林の保存や自然公園などがこれにあたる．後者は自然の植生外に材料を移動して保存することであり，圃場保存のほか，一定期間ごとに種子を更新しながら冷蔵庫で保存したり，あるいは生長点を切り取って培養（培養茎頂）したりしながら保存する，いわゆるインビトロ保存などが行われている．しかし，これらの保存では必ずしも完全なバックアップ態勢が取れないため，より安全でかつ長期的な保存法が求められている．ここでは，ジーンバンク事業で行っている種子の保存の現状、栄養繁殖性作物の超低温保存の現状を紹介する．