HILSを活用した油圧制御システムの設計手法：FST方式駆動回路への適用事例

摘要

HILSは、Hardware In the Loop Simulationの頭文字をとった略称であり、開発対象の製品の実物を用意して、その製品が使用されるシステムの他の部分の動作を計算機による実時間シミュレーションで置き換えることで、開発中の製品のシステムにおける動作を確認し、性能を検証する技術である。 HILSは自動車産業をはじめ多くの分野で盛hに使用されており、油圧機器を含むシステムへの適用も進められている。 従来は、動作の比較的緩やかな対象を実時間シミュレーションすることで対応されてきたようであるが、最近ではより高速で動作する機器も実時間シミュレーションで再現したいというニーズがある。 一般に、高速な動作を行う対象の実時間シミュレーションは、計算機の性能限界との関係から、難易度がアップする。 特に、油圧機器のように、高速な現象だけでなく、非線形特性が含まれるようなシステムの実時間シミュレーションは容易ではない。 油圧回路の実時間シミュレーションについては、理論ならびに実験に関する報告例があるが、その知見は十分公開されているとはいえない。 そこで、著者は油圧回路の実時間シミュレーションについての研究を行い、その知見を発表した。 ここでは、文献をもとに、油圧回路の例としてFSTを取り上げ、HILSの適用を試みた結果と、その知見を紹介する。