新しい視点で学ぶ弾性力学入門：第7回 応力集中(3) 円周切欠き，フィレット，等価だ円

摘要

前号までで，応力集中を無限板中に存在するだ円孔の問題と半無限板縁に存在する切欠きの問題で説明した。 これらは穴や切欠きが存在する領域としていずれも無限に大きな弾性体を考えている。 しかし，実際の機械設備には，有限な寸法の構造物中に存在する孔や切欠きが問題となるので，全体の寸法が有限であることの影響を把握する必要がある。 そこで今回は，その一例として，円周切欠きを有する丸棒の応力集中を考える。また，実際の軸には必ず段付き部が存在するが，その応力集中が起点となって，破壊が生じることが多いので深刻に検討する必要がある。 その対策の1つとして応力集中低減のため，角や隅に丸みを設けることは，設計上の常套手段となっている。 この段付き部の丸み部分はフィレットと呼ばれ，これまで取り上げてきた穴や切欠きとは異なる形状的特性を有する。 このことから，今回は，これまで取り上げてきた穴や切欠きとは別の考え方を必要とする，フィレットの応力集中の考え方について説明し，一般的に混同しやすい両者の違いを明らかにする。