商品設計者のための樹脂成形金型入門：第13回 金型が作りやすいなるべくシンプルな形状

摘要

これまで連載では，商品設計を進めるうえでなぜ商品設計者が金型や射出成形をよく知り，かつ"金型を作りやすいよう，可能な限りシンプルな形状"を作る必要があるのかを述べてきた．しかし第一線の商品設計者たちからは，いまだに「なぜ商品設計者がそこまでしなければならないのか？ 」という疑問の声が絶えない．ただし筆者が本連載で提唱していることは，決して金型設計者や後工程の作業者の仕事の肩代わりではない．究極の商品開発期間の短縮や，開発コストの削減を実現するためには，射出成形金型や射出成形に起因するロスタイム（金型待ち時間）および手戻り（成形品質不良による設計変更）を根絶するしかない．そのためには，商品の構想設計段階からその部品構造や形状，また金型設計·製作時点で起こり得る問題を予測し，できる限り問題を起こさないような，先手を打った商品設計以外にないことを述べているのである．