超精密研磨加工はどこまで進hだか：I.総論－研磨加工技術の最近の開発動向

摘要

研磨加工は，加工物を工具に研磨材を介して擦りつける操作で進めることができ，人類が金属材料を入手する以前の石材，貝殻，骨，歯牙などを道具や装飾品などに用いていた頃から利用されてきた．加工物と工具を擦り合わせる研磨操作の基本は，現在でもそれほど大きな違いはない．したがって，ややもすると研磨加工は遅々としていてほとhど進歩がない加工法ではないかと思われてきた．しかし，20世紀の100年間を見てみると，すでに解説「研磨加工の軌跡」でも述べたように，特に世紀後半になってからの進展が著しい．すなわち，19世紀末までに光学部品の製作で発展してきた高品質·高精度の研磨加工は，レーザの出現によって量子光学用の新たな光学システムが必要になり，それらの製作に適用されるとともに，光·電気·機械が融合したオプトメカトロニクスで象徴される先端分野の高度部品の製作においても重要な加工技術として位置づけされるようになった．