金属接着板の塑性曲げ加工

摘要

今日市販されている構造用接着剤の中には非常に高い延性を有し，しかもはく離強度や衝撃強度に優れているものがある。 著者等はこうした特性を有する接着剤の中から，通常のエポキシ系接着剤と同程度の接着強度を持ちながら同時に高い延性を有するというアクリル系の接着剤に注目し，金属接着板の塑性加工（本研究においてはV曲げ加工とする）という新しい技術の提案を行い，その可能性や実現に向けた問題点を解明すべく研究を進めている。 図1に新技術の概念図を示す。(a)には従来の接着接合の考え方を，(b)には提案する新しい接着接合の考え方を示す。 本図からわかるように，提案する新技術においては明らかに加工工程が少ない。 さらには，被着体がいずれも平面であることにより接着剤の塗布が容易である。 また(a-2)は二つの被着体をそれぞれ加工の後に接着するという概念図であるが，一般には(a-1)のようにどちらか一方は平板のままの場合が多い。(a-1)のような形状の接着継手に比べ，(b)に示す形状の接着継手は，明らかに曲げ剛性か高く，接着強度も大きい。 このように，提案する技術が実用可能であれば，生産性の向上は勿論のこと，部材剛性，接着強度および製品寸法精度等のさらなる向上等といった大きな効果か期待できる。