宮城県大崎市北小塩地区における順応的管理の取組みと課題

摘要

農業農村整備事業が生物多様性や自然再生に与える影響は少なくない。順応的管理に基づいた地域マネジメントのあり方を検討するための基礎として，宮城県大崎市北小塩地区における事例分析を行った。具体的には，事例地区における環境配慮に伴う実践活動を順応的管理の視点から評価し，その課題と解決方策について考察を行った。その結果，保全目標の曖昧さや設置効果に対する先入観，モニタリング結果の共有に関する課題が明らかとなった。またその改善方策として，掛かり増し経費の取扱いヤフイードバック管理について議論を行うこと，段階的施工や参加型モニタリングについて具体的な検討を行うこと，伝統的技術である“見試し”について再評価することの重要性を指摘した。