機械設計のための摩擦摩耗特性

摘要

機械部品の設計では材料物性の適切な活用が求められ，特に摺動部品においては材料の摩擦摩耗特性の把握が重要となる．しかし，部品の強度計算などで必要なヤング率などの物性値とは異なり，材料の摩擦摩耗特性は使用環境によっても変化するために，材料固有の物性値としては認知されていない．そのため，材料の摩擦摩耗特性を得るには，個々の使用条件を模擬した摩擦摩耗試験により計測するか，実部品を試作した評価により個々に調査しなくてはならない．しかし試作評価は設計コスト高を招くため，正確な摩擦摩耗物性は把握できないまでも，主な材料が持つ摩擦摩耗特性の優劣は試験するまでもなく把握しておきたい．また摺動材料に対する設計上の要求特性も理解が必要である．