ドイツ高速鉄道脱線事故の真相－技術者の責任論から

摘要

起訴状によれば，「専門家の見解によれば，ゴム弾性車輪は一体車輪と異なってゴムとタイヤ内面の摩擦（フレッティング）によって疲労強度が低下するのを考慮しなかった」というようにフレッティングが技術者の責任の訴因の一つとされている．LBFレポートでは，フレッティング疲労の部分で次のように述べている．「腐食の可能性のほか，長期問の実用の過程においてはすべての組立構造物（ボルトやはめ合い結合）にフレッティング·コロージョンの危険性がある．この場合には明確な疲労抵抗性は存在しない．このことは，高繰返し回数の荷重においても振動に対する強度は徐々に低下すること意味し，これはあらゆる評価に考慮されねばならない．」この観点から出発して，彼らは使用寿命評価として，S-N曲線の勾配を折れ曲がり点以下では：k'=8 (N>10{sup}7) としている．また，修正Palmgren-Miner 損傷則の仮定を適用して，使用寿命評価について損傷度の和Dを決定していることは上に述べたとおりである．