自動車用炭素繊維複合材料の成形法

摘要

本稿では自動車への利用が期待されている炭素繊維複合材料の成形法を紹介する．ここでの炭素繊維複合材料とは，熱可塑性または熱硬化性樹脂に直径5-7μm程度のいわゆる炭素繊維を組み合わせたもの，炭素繊維強化樹脂（Car-bon Fiber Reinforced Plastic, CFRP）とする．カーボンナノファイバーを分散させた樹脂等は対象としない．自動車の軽量化は重要な社会的ミッションと認識されている．この理由はエネルギー消費量およびCO_2排出量の低減に大きな効果があるためである．例えばCO_2排出量の規制値は欧州では2020年に95g/kmと決められているが，現状のガソリンおよびディーゼルエンジンの市販車の多くは200g/km程度ある．CO_2排出量と車両重量はほぼ比例関係にあり，100kgの軽量化は約20g/kmのCO_2 排出量削減に資する．ハイブリッドカーや電気自動車のCO_2排出量は上記よりもずっと少ないが，燃費向上のためにはバッテリーの重量増分を他の部材の軽量化で引き受けなければならない．