時間－温度換算則に基づくポリプロピレン樹脂のクリープ破壊の予測法

摘要

本研究では，一般に医薬品容器などに使用されるPP樹脂について，EB照射の強さや界面活性剤並びに顔料がPP樹脂の機械的性質，特にクリープ破壊に及ぼす影響並びにその長期予測法について検討した．その結果，以下のことが明らかとなった．1) PP樹脂のクリープ破壊強度の時間および温度依存性は，比較的容易に短時間で得られるクリープ変形量に関する時間－温度移動因子を用いることで予測が可能である．2) PP樹脂のクリープ破壊は，顔料の有無，EB照射強度そして界面活性剤の影響を受けるが，これらを含む場合であってもクリープ破壊強度の時間，温度依存性は，樹脂単体のクリープ変形量に関する時間－温度移動因子を用いることで予測が可能である．3)上記1)，2)の結果より，PP樹脂のクリープ破壊の長期予測が比較的短い時間で得られるクリープ変形量を基に可能である．4) PP樹脂のクリープ破壊は，顔料の有無，EB照射強度そして界面活性剤の影響を受け，それぞれ顔料含有の場合，EB照射強度が高い程，界面活性剤の濃度が高い程早く起こる傾向にある．