グラフェン/サファイアへテロ界面の相互作用

摘要

近年、グラフェンなどのナノ炭素や有機分子を用いた分子スピントロニクスが注目されている。これらの材料ではスピン-軌道相互作用が小さいこと等により長いスピン拡散長など優れたスピン輸送性の発現が期待されている。我々はスピン注入過程などに関与する分子やナノカーボン物質と磁性金属等との界面に着目し、物性·分光的アプローチによりスピントロニクスの動作機構を探索している。電気的手法により磁性電極から分子やナノ炭素材料に高効率スピン注入を実現するための方策の一つに、磁性電極とナノ炭素材料の界面へのトンネルバリアの挿入が挙げられる。グラフェンのスピンバルブ素子ではバリア層としてアルミナの報告例が多い。今回、グラフェン素子におけるグラフェン/アルミナ層(トンネルバリア)/磁性電極構造のモデル構造として、グラフェン/サファイア界面を作製し同界面におけるグラフェンの原子構造や電子状態を明らかにした。