軟磁性ナノ結晶における粒界交換結合の影響

摘要

強磁性ナノ結晶材料は優れた軟磁気特性を示し、従来の結晶材料やアモルファス合金に代わる高透磁率材料として注目されている。ナノ結晶材料の保磁力H_Cは、粒径Dの関数としてピークを示し，それより小さい粒径（ナノ結晶領域）においてはD~6に比例して減少する。この軟磁性化は、ランダムな容易軸を持っ結晶粒が交換結合することで実効的な異方性エネルギーが平均化されるというランダム磁気異方性に起因する。しかし、ナノ結晶の軟磁性を決定するランダム磁気異方性と結晶粒間の磁気的結合状態の関係は明らかではない。すでに我々は、軟磁性材料探索のためにRAMに基づいた磁気シミュレーションを開発し、バルク形状において保磁力が粒径Dの6乗に比例して減少することを確認した。そこで今回、このシミュレーションを用いて粒間の結合状態を変えて粒径の保磁力依存性を調べた。