無線センサネットワークの高効率化を目指したフラッディング送信電力設計·運用法の一検討

摘要

マルチホップ型のネットワークを形成する無線センサネットワークでは，全ノードから情報を取得する場合にシンクノードからフラッディングを用いてデータ要求パケットを配信する方法が多用される．通常のフラッディングでは全ノードがブロードキャストするため，ノードに多大な負荷がかかる．そのため，大規模な無線センサネットワークの長寿命化を目的としてフラッディング時のノードごとの送信電力を最適化する送信電力設計法が研究され，高次元最適化問題解決手法を用いて准最適な複数の許容解を求める方法が提案されている．しかし，この許容解はノード間距離以外の電波減衰要因を考慮していない理想環境下での解である．本稿では，この准最適許容解が潜在的に有する優れた低消費電力特性を引き出し，且つ，実環境で想定される多様な電波伝搬環境下でも高信頼なセンシング情報の収集を可能とする環境適応型送信電力管理法を提案する．