近年の光ファイバ伝送における大きな技術革新がデイジタルコヒーレント光受信である.コヒーレント光受信技術自体は1970年代から研究されていたが,光信号と局所光との位相同期や偏波トラッキングが課題であった.半導体レーザの周波数·位相制御や偏波変動のトラッキングといった適応等化技術は,光デバイスを用いたアナログ的なアプローチで達成することは困難であり,実用化の大きな障壁となっていた.2000年以降,アナログ·ディジタル変換の超高速化が達成され,それら適応等化をすべてディジタル信号処理(digital signal processing: DSP)で実装することが可能となり,30年を経てコヒーレント光受信技術は復活をはたした.本発表では,すでに導入がすすめられている100Gbit/sシステムの光受信器側DSPに焦点を当てる.光伝送システムの技術要素を紹介し,その利点·欠点を述べる.その欠点を補うのがコヒーレント光受信用DSPおよびMIMO技術であることを明らかにしたい.
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