屋内環境における基地局偏波ダイバーシチの適用効果

摘要

筆者らは，医療機関などの屋内環境における基地局の受信感度を向上し携帯電話の送信電力低減を実現するために，電界および磁界の各3軸成分をブランチとした偏波ダイバーシチ受信方式およびRAKE受信適用6ブランチ遅延合成システムを提案している．前回の報告では，本提案について試作機を用いて実環境における有効性を確認した．本報告では，電界の3軸成分をブランチとした偏波ダイバーシチアンテナおよび3ブランチモノポールアンテナによる空間ダイバーシチ受信を用いたダイバーシチ受信について，レイトレース法を用いた計算機シミュレーションにより検討を行い，屋内基地局におけるダイバーシチ受信の適用範囲について検討を行った．本検討では，屋内環境における基地局到来電波の特性を評価した．次に，送信側である移動局の偏波および送信位置を変化させ，各ダイバーシチアンテナによる基地局受信レベルを算出した．その結果，偏波や送信位置の変動に対し，電界3軸偏波ダイバーシチアンテナは安定した受信レベルが得られることを確認した．さらに，基地局に到来する電波の偏波保存度を変化させた場合，偏波保存度が比較的小さい環境では偏波ダイバーシチ受信により安定した受信品質が期待できることがわかった．