58歳で人工股関節置換術を施行されたぺルテス病の1例

摘要

要旨我々は，10歳でペルテス病を発症し，保存加療されたものの壮年期に変形性股関節症 (Osteoarthritis:以下，OA)となり，58歳で人工股関節置換術(THA)を施行された1例を経験した. 長期にわたり画像フオローをし得た症例のため報告する.症例は58歳男性.10歳時に右股関節痛お よび跛行を主訴に医療機関受診しペルテス病の診断を受けた.初診時のLateral Pillar分類group C ， Catterall分類ClassIVであり保存的加療にて経過観察され，成長終了時のStulberg分類Class Wであった.58歳時に右股開節痛が出現.徐々に症状が増悪しOAの診断でTHAを施行された. 経過は良好であり現在は社会復帰を果たしている.ペルテス病の高年齢発症や広範囲壊死症例は予 後不良と言われ，二次性OAに至る可能性が高い.Stulberg分類でClass 1/IV/Vは将来のOA リスクである.本症例ではTHA後の経過は良好であつたが，ペルテス病後のTHA回避のために は的確な予後予測と細かい経時的評価をしながら，Stulberg分類でClass I / IIに抑えることが求 められる.