先天性股関節脱臼症例に対する1歳時の観血的整復術と2歳時のSalter骨盤骨切り術併用観血前整復術の比較

摘要

【背景】当科では非観血的に整復不能または歩行開始後に診断された先天性股関節脱臼症例に対して2歳未満では観血的整復術(OR)単独を，2歳以降ではORとSalter骨盤骨切り術(SIO)を適応としたか,寛骨臼形成不全が著明な2歳未満症例ではOR単独でよいか迷うことがある.【目 的】2歳未満のOR単独群と2歳以降のOR + SIO群の手術成績の比較.【対象.方法】広範囲展開 法によるOR単独群26股と前方進入法によるOR + SIO群12股を対象とした.調査項目は，治療 歴の有無，術前のAcetabular Index(AI),追加手術の有無，最終調査時のSeverin分類と大腿骨 頭壊死である.【結果】追加手術はOR単独群の10股(38%)， OR + SIO群の2睽(17%)で施行した. 術前のAI, Severin分類，大腿骨頭壊死発生率について雨群間に有意差は認めなかった.【結論】 OR単独群ではより高率に追加手術を要したものの，雨群間で最終的な手術成績に差は見られなかった.